- お墓に関してご親族とトラブルにならないために、どういったことに注意するべきかを知りたい方
- お墓の検討を進めている一方で、まだご親族と
- お墓に関してご親族とトラブルに見舞われていて、その解決のヒントをお探しの方
2016年オレンジページというメディアから「お墓についての悩みや心配ごと」に関するアンケート結果が発表されました。結果を見てみますと、「子どもにお墓関係で迷惑をかけたくない」「頻繁にお墓参りに行くことができない」などといった親族トラブルに関する回答が多く見受けられます。
実際に我々で調査した結果でも、例えばご子孫さまに相談せずに良かれと思ってお墓を建てた結果、ご子孫さまからの反論があったなんてこともありますし、
「お墓の移動(改葬)」や「墓じまい」を検討したものの、こちらの手続きをする際にも親族間でのトラブルに巻き込まれてしまったなんていう事例は少なくありませんでした。
最悪の場合、せっかく石材店と相談をしながら詳細を詰めていき、最後のお墓の手続きをする直前だったにもかかわらず、親族間のトラブルによりすべて白紙になってしまったということもございます。
そこでこの記事では、お墓の手続きを進めようとしたときによくあるご親族とのトラブルについて解説をしておきます。
ご親族とのトラブルを事前に解決しておくことで、安心してお墓の手続きを進めることができますから、ぜひこの記事を参考にしてご親族と相談をしてみてください。
目次
夫婦間のトラブル
子供たちにお墓の世話させたくない・子供がいない
終活を進めるなかで「お墓を建てたいけれども、自分の子どもたちに世話をさせるようなことはしたくない」というふうに考えている方々もいらっしゃいます。というのも、ご子孫さまたちとの住まいが離れていたり、お墓の維持管理で大変な思いをさせたくないからと考えているからとのことです。
また「お墓はほしいけれど、子供がいない」と悩まれている方もいらっしゃいます。
こういった方への解決策として登場したのが「永代供養墓」というお墓です。
これは墓地の管理者がご家族の代わって維持・管理をしてくれるというサービスになります。基本的にお墓は一代っきりで墓じまいとなるため、お子さまの有無や維持メンテナンスについての不安を解消することができます。
夫が承継したお墓に入りたくない
お墓の承継者はご長男の方が指名されることが一般的です。そのため、その家系のご長男である旦那さまとご結婚された奥さまは、暗黙の了解として「奥さまが亡くなられた後の遺骨は、旦那さまが承継したお墓に入る」という認識でいらっしゃる方が多いです。
しかし「わざわざ夫婦でお墓について話し合わなくてもわかっているでしょ?」という認識でいたところ、奥さまが「そのお墓に入りたくない」という思いでいらっしゃることもあるのです。
その理由に伺ってみますと、
- 知らない親族と同じ墓に入るのは嫌だ
- 実はお義父さま、お義母さまと不仲だった
- 縁もゆかりもない土地に埋葬されるのに抵抗がある
- 介護のときにへとへとになってしまって、死後も一緒にいるのがツラい
- 夫の家系ではなく、自分の家系のお墓に入りたい
- 自分が納骨される墓地・墓石は自分で決めたい
などがあります。
こういった場合には「奥さまが亡くなられた後の遺骨は、旦那さまが承継したお墓に入る」という常識のようなものに縛られる必要はございません。
例えば、旦那さまのご家系とは別のお墓に入りたいというご要望があれば、「夫婦墓」と呼ばれる永代供養墓を新たにお墓を建てるという選択肢がございます。ご自身たちでお墓を建てるのであれば、墓地の場所や墓石のデザインを決めることができるというメリットもございます。
また、「夫婦墓には興味があるのだけれど、ご先祖さまたちのお墓に入らないという風にはなかなか割り切れない・・・」という方は分骨といって、遺骨の半分は夫婦墓に、残り半分はご先祖さまたちと同じお墓にということも可能です。
熟年離婚を考えているが、自分が入るお墓がない
熟年離婚を考えている奥さまには「本当はもっと早く離婚を決断したかったけれど、子供のことや養育費のことを考えると決断できなかった」という方も少なからずいらっしゃいます。そんな中で、お子さまが就学や就職・結婚などによって家を出て独立された後、いざ離婚を切り出そうかというときに悩むのが「奥さまが死後入られるお墓について」です。
単純に夫婦別でお墓を建てるということも可能ではあるのですが、一方でお墓を承継するご子孫さまの立場を考えますと、お墓の維持・管理が2倍大変担ってしまうというデメリットが発生してしまいます。
このような場合には「個人墓」という永代供養墓を建てるという方法がございます。
これも先述した夫婦墓と同様で、ご親族の代わりに墓地の管理者がお墓を維持・管理をしてもらうという方法ですので、ご子孫さまに負担をかけずにお墓を建てることが可能となります。
ご子孫さまとのトラブル
勝手にお墓を承継することになっていた
お墓はご長男が承継されるのが暗黙の了解になっているケースが多いです。ですが、息子さまの事情を考慮せずに、息子さまがお墓を承継することとしてしまうのは、トラブルの元となりかねません。
というのも、就学や就職・結婚などをきっかけに、お墓のある地元から離れて生活をする方が非常に多いためです。
そんな状況の中で息子さまがお墓を承継するとなると、
- せっかくの休みの大半をお墓参りのために消費することになってしまう
- お墓の維持管理をしに来ないとお墓がどんどん劣化していってしまう
- 災害発生時にはお墓の状況を見に来つつ、必要なら修理をしなければならない
- 墓地の管理料はずっと支払い続けなければならない
などが発生してしまいます。
つまり、家系の絆のために良かれと思って建てられたお墓のはずが、承継者さまによってはそのお墓が原因で非常に大きな負担となってしまうのです。
中には、お墓を自宅の近くに引っ越し(改葬)を検討される方もいますが、これにも高額の費用が発生してしまいます。
そのため、このようなトラブルを防ぐためには、
- お墓を維持してほしい期間を伝える(法要をやりきるまでなど)
- ご家族と相談をし、ご長男さま以外で承継をしてもらえないかも検討してみる
- 承継者さまの住まいの近くでお墓を建てることを検討してみる
- 永代供養墓(夫婦墓など)を検討し、ご子孫さまの負担にならないようにする
など、ご自身の家庭にあった形でお墓を検討してみてはいかがでしょうか。
ご親族間のトラブル
お墓の引っ越しに反対される
お墓は残されたご子孫さまたちが家系の絆を強めるためのものであるという意味合いがある一方で、お墓の維持管理の責任は承継者の方にあります。
承継者さまによっては、現在の住まいからお墓の場所が遠いなどの理由でお墓の引っ越し(改葬)を検討することもあるのですが、これに対して親族から反対があるという事例がございます。
というのも、承継者さまの都合だけで改葬をするとなると、
- 他の親族の方にとっては、お墓の場所が遠方になってしまう
- 今まで承継されてきたお墓をなくすことは、ご先祖さまに申し訳ない、祟りに会うのでは?
などという意見があるためです。
お墓をどうするかについて、法律上は責任者である承継者の方が決めるのですが、お墓の存在意義を考えるとご親族さまの意見もないがしろにできないところが、このトラブルを解決する上での難しいところです。
こういった場合の解決方法として、
- 分骨をして、各親族ごとにお墓を建てる
- いったん永代供養墓として、お墓の維持管理を代行してもらう
- 承継者さまのご状況を説明し、ご親族を説得する(場合によっては弁護士に相談)
などの方法からご検討いただければと思います。
お墓の手続きに関する費用負担でトラブルに
例えば、承継者さまが墓じまいや改葬などをご決断しこれにご親族さまが皆賛成をしているものの、誰がその費用を負担するのかでトラブルになるケースもあります。
墓じまいや改葬は、その作業内容次第で相場は大きくばらつくのですが、場合によっては数十万〜数百万円程度がかかることも珍しくありません。ここまで高額になってくると、さすがに承継者さまで費用を負担するには大きすぎると感じる方が多いです。
こういった場合には、承継者さまだけで問題を抱え込むのではなく、ご親族で協力しながら費用負担について協議をされるようにしましょう。また、ご自身は承継者ではなかったとしても承継者の方が悩まれているようでしたら、ご家族の一員として積極的に相談に乗り、解決に協力するのがよろしいかと思います。
もしご相談できる親族がいらっしゃらない場合には、ローンや自治体の補助金などの検討をしてみてはいかがでしょうか。