- この記事を読んでほしい方
- 先祖代々継がれてきたお墓を改葬すると、ご先祖様が怒ったり、悲しんだりするのではないかと不安な方
- お墓の改葬について考えているが、ご親戚や管理している住職の方をどう説得したらよいかと悩んでいる方
以前は「親御さまから継いだお墓は、ご子孫さまが継ぐものである」というお考えが主流ではありましたが、近年では主流ではなくなってきている傾向にございます。
その背景には、
- 進学、就職、結婚などをきっかけに、地元を離れる方が一般的になってきたこと
- お墓が地盤の緩いところに建てられているせいで、自然災害で破損する可能性が高いこと
- 納骨されるご遺骨が多くなってきて、より広い納骨室が必要になってきたこと
などのような、お墓を管理する上で起こる問題があると考えられます。
そんな中、その解決策として最近ご検討されることが多くなってきたのが「お墓の改葬」です。
ただ、いざお墓の改葬を行おうとしますと、
- 先祖代々継がれてきたお墓を自分が処分するとなると、バチが当たってしまうのではないかと不安になる
- ご兄弟やご親戚から「自分たちがお墓参りできなくなる」という反対がある
- 寺院墓地のご住職とトラブルになったという話を聞いて、手続きを進めるのが怖くなった
という方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、そんなお悩みのお客さまに対して、解決のヒントのなるようアドバイスをご提供させていただきます。
目次
改葬や墓じまいって、良くないことなの?
「改葬や墓じまいについてどのようにお考えか?」と訪ねてみますと、お客さまやそのご親戚さまの中には
- お墓を継ぐことのは当たり前
- 改葬や墓じまいは良くないこと
- ご先祖さまから罰が下る
などとお考えの方がいらっしゃるかもしれません。
それは「お墓というのはご先祖さまがお盆に帰ってくる為の大切な居場所である」と思われているからだと思われます。
特に先祖代々継がれてきたお墓の場合、
- 先祖代々引き継がれてきたものという経緯や歴史があったり、
- ご先祖さまにとって最も馴染み深い場所になっていたり、
などといった事情がございます。
そのため「改葬という行為は、その家系の歴史やご先祖さまにとって馴染みのある場所をないがしろにしてしまうことだ」という罪意識を感じられる方もいらっしゃります。
もちろんこのようなお考えも決して間違っているとは言い切れません。ですが、その一方で必ずしも正しいとも言い切れません。
と言いますのも、「昔の人はお墓を継ぐことを当たり前のように受け入れていた」という考えは、戦前まで存在していた「家督制度」という法律があった影響もあると考えられます。
家督制度の中ではお墓の継承のルールについても明記されていました。しかしそれが廃止となっている現在においては、これまでのような「ある種の一般常識のようなもの」に縛られる必要はなく、各継承さまのご状況や価値観によって、お墓のあり方を決断しても良いとなりました。
そのため、このような法律・制度の変更に伴って、各継承者さまのお考えも変わってよいのです。
これを踏まえて改めて改葬について別の視点から考えますと、「ご先祖さまがどのように思われるかは、場所の問題ではなく、ご子孫さまがご先祖さまのことを偲ぶ機会がどれだけあるかだ」という考えもございます。
例えば改葬によって
- お墓を自宅近くに移したことで、ご先祖さまにお墓参りする機会が増えた
- 耐震強度が高いお墓に引っ越しをすることで、安心してお墓の管理ができる
- より広い納骨室のお墓に引っ越しをされることで、承継者様やご子孫さまが亡くなられた後もご先祖さまたちと一緒にいられて安心する
といった大きなメリットがあります。
そのため、ご先祖さまのことばかりを気にかけるのではなく、承継者さまのご状況に重きをおいたご判断も同じぐらい大切である、という考えもございます。
お墓が維持管理されないとどうなるの?
基本的にお墓を適切に維持管理されてこそ、存続し続けることができます。
もちろん「お墓は地元で引き継がれるもの」というような考えをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、そうなると承継者さまによるお墓の維持管理の負担が非常に大きくなってしまい、中には全く管理が行き届かなくなってしまっているお墓もあるのです。
では、このように適切な管理が行き届かなくなってしまったお墓はどうなるのでしょうか?
まずお伝えしておきたい知識として、承継者さまは現在ご契約されている墓地・霊園へ「年間管理費」をお支払いされていると思いますが、基本的に墓地・霊園の方が各ご家系のお墓の維持メンテナンスをしてくれることはありません(永代供養墓は除きます)。
つまり「お支払いしている年間管理費」は「ご家系のお墓の維持メンテナンスを代行してもらうための費用」ではないのです。
この年間管理費の多くは、
- 墓地運営のための水道代・電気代等の公共料金支払い
- 墓地の清掃道具や墓地共用部の維持管理のための経費
等の名目で使われるものでしかないのです。
そのため、墓石が汚れていたり一部破損をしてしまっても、承継者さまやご親戚さま等が処置をされない限りはそのままの状態です。
最悪のケースですと、それが原因で他のご家系にご迷惑をおかけしている事態となった場合には、訴訟トラブルにまで発展しかねません。
特に古くから代々継がれてきた墓石は、耐震施工が十分ではないものも少なからずあります。2011年の東日本大震災の際には、家屋だけではなく墓地や霊園に建てられたお墓までもが甚大な被害を受けました。
承継者さまの中にはお墓の修復や立て直しをされた方もいるようですが、お墓が遠方である承継者さまですとこういった対応が難しいようです。
また、承継者さまご自身が亡くなられて納骨されることを想像された際、やはりお墓が適切に管理されていないのは嫌だと感じる方が多いのではないでしょうか。
どうしても改葬ができないときは?
法要までで区切り、その後改葬する
例えば親御さまが亡くなられた直後に「改葬」となると、お客さまによっては抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思います。
そのようなときには、例えば「一周忌や三回忌までは今までのお墓で行い、終わり次第改葬」というように手順を踏むのがいいかもしれません。
改葬についてご親戚さまや、お墓を管理している住職の方と話の折り合いをつける際にも、提案しやすいかと思います。
また、改葬の手続きはスケジュールに余裕を持って行うことが非常に重要ですから、物事が落ち着いてから手続きを進められるという意味でも非常に賢明だと思います。
もし改葬の手順等について気になる方は、こちらの記事をご参照ください。
墓石ごと改葬ができないかを検討する
お客さまの中には、ご先祖さまが納骨されている墓石そのものを非常に大切にされている方もいらっしゃいます。
先祖代々から承継されてきた墓石は、家系の歴史の象徴そのものでもあるからです。
となると、古いお墓を墓じまいするような改葬方法は難しい場合があるかと思いますので、このような方は「墓石ごと改葬することができないか」を検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、解体・搬送作業の難易度の都合や、新しい埋葬先に建てられるかといった問題がございますので、石材店にご相談ください。
もちろん、カレンでもお問い合わせをお待ちしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
別のご親戚にお墓を維持管理してもらうよう相談をしてみる
承継者さまによるお墓の維持管理が困難であれば、別のご親戚にお墓を維持管理してもらえないかと相談してみましょう。
もしご親戚がお墓の近くにお住まいであれば、そのご親戚に相談してみたり、あるいはお墓の承継者さまをそのご親戚に名義変更するといったことで解決できるかもしれません。
承継者さまご自身だけでなんとかしなければと抱え込むのではなく、ご家系で協力しあって解決できないか考えてみるのはいかがでしょうか。